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大好きな漫画・ゲームのメモブログ

銀魂 ②

「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」



ワーナーのロゴの後、いつものBGでグダグダ始まるところとかwww 「オマエらの見たかったのはコレだろ」と言わんばかりのオープニングですが、でもファンとしてはこーゆう「銀魂」をこそ見たかったんだから、文句などあろうハズがございません。
「一見さんお断り」とか言っときながら、新八のツッコミの中にさりげに最低限の設定を滑り込ませてるあたり、スタッフの心遣いが感じられて◎。

で、本編。劇場版は「新訳」とあるように、TV版と基本的なストーリーは一緒ながら、細かいところに工夫というかこだわりが見られるのが嬉しい。似蔵の桂襲撃の前に松下村塾の回想を入れたのもそう。TV版にあった似蔵のモノローグをバッサリカットして、代わりに銀時たちの子供時代の回想を入れることで、これが「はじまりは一緒だった」銀時、桂、高杉のドラマであることを明確に示している。
「この言葉を贈ります」と松陽先生が山ちゃんボイス(ワオ!)で言うんだけど、その後の贈る言葉が口パクでなんと言ってるか分からないのが気になる。でも、ここで実際にどんな良い台詞いれたとしてもきっと陳腐に聞こえてしまうだろうから、この演出で正解。

桂が似蔵に斬られる場面は、TV版の使いまわしのような気もするが、背景を実際の夜らしく暗くすることで雰囲気を出している。てか、見てて感心したのは、新作カットの中にTV版のカットが違和感なく溶け合っていること。そのまま編集でつなぐのではなく、彩色とか効果とかちゃんと手を加えている。TV版を見てない人は「全部新作ですよ」と言っても疑わないのでは。

真選組屯所のシーン。ぶっちゃけ、彼らの登場シーンは少ないので、あまり過剰な期待はしないように。ストーリーの都合上、あんまり彼らを活躍させられないから、仕方ないんだけどね。
近藤さんwww 土方と沖田がやり合う場面で、沖田の膝で不自然に下半身が隠されてたから予想はしてたけど。やっぱり近藤さんは全裸がデフォなのね。
とはいえ、TVに比べて露出シーンの演出が控えめ(モザイクも目立たない)なのは、ワーさんナーさんに遠慮したのかな。

万事屋に現れるエリザベス。ここらへんは基本的にTVと同じ。でもカット割とか微妙に変化はつけていたような。「いちご牛乳」がちゃんと明治の「いちご・オレ」になってるところはさすが映画版。

鍛冶屋の村田鉄也から「紅桜」探索の依頼。鍛冶屋のシーン、TVに比べて音がでかっ! ていうか、当然のことながら、音響関係はTVに比べて段違いに良い。大きい音は大きく、小さい音は小さく、凄く臨場感がある。

橋の上で新八、神楽、エリザベスのやりとり。エリーは主にプラカードだけどw ここはTVのまんま。エリーの「ミンチにすっぞ」は何度聞いても笑える。

「地球防衛基地」にシーンはバッサリカット。その代わり沖田が銀時に辻斬りと紅桜のことを話してます。「さっきそこで聞いた」って銀さんが言ってオチがつくんだけど、これオリジナル知らないと全然笑えないよな。

宇宙海賊春雨の基地に乗り込む万斎。まるまる新作カット。

辻斬りを待ち伏せるエリザベスと新八。エリゴ13ってwww『俺の後ろに立つな』「どっちが前か後ろかわかんないよ!!」このやりとりも笑える。
で、奉行所の役人が似蔵に斬られて銀時が助けに入る、桂を侮辱した似蔵に銀時が斬りかかるあたりまではTVのまま。ただし、TVでは似蔵に胴体両断された夜回りの下半身は箱か何かでブロックされていた。映画では規制とかそんなに気にしなくてもいいのか、血の量も3割増しくらいで描かれてました。

その後の銀時VS似蔵はTVのカットを使いながらも、新作カットを随所に交えてTV以上にスピーディかつダイナミックに描かれていて凄い迫力。特に、腹を紅桜に貫かれながらも銀時が刃をブロック→新八が川にダイブ→似蔵の右腕をぶった斬るの流れが良かった。

船上の高杉に銃を突きつける神楽。背景の満月が怖いくらいに美しい。今回の名シーンの一つ。その後、また子とバトル→浪人軍団と乱闘→捕まるあたりは基本的にTVと同じ。

少年銀時と松陽先生の出会い。「己の心を守るための剣を」という先生の言葉がイイ。攘夷戦争と「白夜叉」時代の銀時。それが今の銀時の姿とカブって、CMでお馴染み、高杉が銀時を刺すシーンへと。
重傷を負った銀時の夢でしたってオチなんだけど、このとき高杉の口にした「一匹のけもの」云々という台詞は、後で桂と高杉が対峙するところで生きてくる。

目を覚ます銀時。万事屋の私室と看病するお妙とのやりとりなど、すべて新作カット。なんか妙に嬉しい。掛け軸が「いちごオレ」になってるのも可笑しい。あと、雨のシーンがハンパない。

河原にて。神楽が戻ってこないとエリザベスに告げる新八。新八が村田兄妹に会う場面や、桂の部下たちと話をするシーンはカット。「精魂込めて打った刀は」云々の鉄也の台詞は聞きたかった気もするけど、でも彼が今回の黒幕的な役割を果たしていることを考えると、鍛冶屋のシーンはないほうが確かにしっくりくるかな。

鬼兵隊の船内のシーンはちょこちょこ新作カットもありますが、基本的にTVとそんなに変わらず。相変わらず変平太は目が死んでいて変態で可笑しい。

万事屋を鉄子が訪れるシーンはほぼ新作カット。紅桜の説明とか絵的にTVより力入っているのがいいですね。「所詮刀なんざ人斬り包丁」という名台詞は、TVと違ってここだけ仁鉄の声になっていた。
鉄子を返してから銀時が出陣するまでのシーンは相変わらず神すぎ。お妙の傘を銀時が開くシーンがちゃんと描かれているのがよかった。TVでは道ですれ違う2人だけど、映画は戦いに赴く銀時をお妙が2階から見送る(こっちのが原作準拠だとか)。お妙の「バカなひと」という台詞がグッときます。ただ、出来ればバックに流れる「万事屋ブルース」は歌ありでやってほしかったかも。

鬼兵隊の船に乗り込む新八、攘夷浪士艦隊の襲撃。高杉の前に現れる桂。このあたりの流れはTVのまま。桂、高杉関連は結構新作カット多め。

紅桜で浪士の戦艦を破壊する似蔵。TVのカットの使い回しですが、音響と画面効果の追加で迫力は段違い。

エリザベスを戦闘に攘夷浪士たちが乗り込んできて大乱戦。TVよりスケールアップしてますね。エリー強い。『今度はすぐに帰ってきてくださいね』というプラカードが泣かせる。桂とエリーの関係が、単なる飼い主とペットじゃなく、同志というか相棒みたいなのがいいんだよなー。

高杉を追う桂。立ちふさがる変平太とまた子に、新八と神楽が対峙する。「何モンですかてめーら!?」
カットが代わり、紅桜の調整をする鉄也と似蔵に歩み寄る銀時(地味に新作カットだ!)
ここで神楽と新八の台詞「宇宙一バカな侍だこのヤロー!!!」
雲間から差し込む光とともに、手を広げてニカッと笑う銀時が最高にカッコイイっ!! TVでは↑の台詞銀さんが自分で言ってたけど、映画版のこれも捨てがたいよ。

TVだとここでEDで、次の回の冒頭に似蔵のモノローグがあったんだけど、映画ではカット。すぐに2人の対決に入ります。ここは正直、TVの方が余韻があって好きなんだけど、「続きは来週」のTVと違って95分1本勝負の映画なんで仕方ないか。

この後の銀時VS似蔵とその決着はほぼTVと同じ。作画もほとんどがTVの使い回しだけど、これはTV版自体作画のクオリティが高かったから、そんなに違和感はなかった。

そして鍛冶屋兄妹のエピソード。ここはいつ見てもいい。兄貴がやたら大声で、前半はそれがギャグのネタになってたんだけど、ここでそれを泣かせるシーンに転化させる演出が巧い。

高杉と桂のやりとり。高杉が桂のことを「ヅラ」と読んでるのがなんか好きw
「俺はお前が嫌いだ。昔も今もな。でも仲間だと思っている。昔も今もだ」
桂の台詞が泣ける。普段のアレが嘘みたいに、このエピソードの桂は光ってる。
高杉の思い。TV版では同じシーンでも高杉が狂気のテロリストにしか見えなかったんだけど、映画版は大切な人を奪われた高杉の怒りと悲しみがより強く表現されていたと思う。
「先生を奪ったこの世界で、お前はなぜのうのうと生きていられる? 俺はそれが腹立たしくてならねえ!」
それに応える桂の台詞がまたいい。
「一番この世界を憎んでいるはずのあいつが耐えているのに、俺たちに何ができる」
なんだかんだ言ってもヅラは銀さんのこと誰よりも理解しているね。

これ以降はほぼ全部新作カット。燃えるぜ!!

春雨の乱入。TV版は春雨関係の作画がちょっと残念な出来だったんだけど、今回はここもハンパなく力が入っていた。乗り込んでくる海賊の先頭にいる、歌舞伎の隈取りみたいな顔した小柄なヤツと、金棒を振り回す図体のでかいのは要チェック。

エリザベスたちと桂、万事屋一行が合流。銀時と桂の位置がTVと逆になってるあたり、芸が細かい。
撤退戦。ここで「バクチ・ダンサー」のイントロ流れる辺りから、アドレナリンが沸騰状態!!
「退路は俺たちが守る!」
仲間を逃がすために、たった2人で敵陣に斬り込む銀時と桂。何も言わなくても、ピッタリ息の合った2人のコンビネーションが最高に素晴らしい。
動く! 動く!! 「修羅」をバックに海賊を斬りまくるTV版も良かったけど、これはそんなもんじゃない!
もう、この3分弱のためにそれまでの80分があるんじゃないかってくらい、とにかくテンションが高い! 熱い!! 燃える!!!
剣客らしいオーソドックスなスタイルでバッタバッタと敵を斬り伏せる桂。
対する銀時は、型にとらわれない臨機応変な戦闘スタイル。斬りまくる合間に殴る! 蹴る! 敵から槍を奪って突く! カマキリみたいな3人組の昆虫型エイリアンが宙を飛んで襲ってきたときに、空中で3人(3匹?)矢継ぎ早に仕留めるシーンで鳥肌立った。
「強い、一手仕合うてもらいたいものだな」
2人の戦いを見つめる万斎の顔がTV版よりマジなのも納得。あんな立ち回りを見せられちゃ、剣豪の血が騒ぐに決まってます。
で、先ほど紹介した強そうな2人。金棒振り回すでかいのを桂が、隈取り顔の渡世人風な小柄なやつを銀時が倒すのですが、無茶苦茶手強そうな敵を、辛勝どころか圧倒的な実力差で斬って捨てる! 銀時はともかく、あのヅラがここまで強いとかもうね(モデルとなった桂小五郎も、剣の達人だったそうですが)。

この後、高杉に啖呵切って脱出。パラシュート背負った桂にしがみつく銀時の見せ方とか(銀さん自身がネタにしてるけど)宮崎ルパンみたいで笑える。

そして物語を締めくくる銀時の台詞。
「ラーメンこぼして捨てた」
泣ける!!

ED。春雨の宇宙船で脱出する高杉一派。ちゃんとまた子と変平太がいる辺り、スタッフの愛を感じます。
駆けつけたときには既に終わっていたと悔しがる真選組。
万事屋で待つ定春とお妙のところに戻る万事屋一行。神楽がいつもの傘でなく、銀時がお妙から借りた傘を差しているのがよかった。「ちゃんと返してくださいね」って言われていたからね。


――ここで終わっても、十分面白かったと思う。TVアニメの劇場版として、ファンを楽しませてオツリのくる出来だったと言えましょう。

が、そこで終わらないのが銀魂クオリティ。

というか、この後の、普通だったら蛇足以外の何ものでもない「オマケ」こそが、アニメ「銀魂」の「銀魂」らしいところ。

これはぜひ、劇場で見てほしい。拙い言葉で、あの馬鹿馬鹿しさ、下らなさ、楽しさは伝えきれない。

いい年した大人が、劇場用アニメ映画で、よくもまあこんなアホな楽屋オチを臆面もなくやったもんだと思う。これ最上級の褒め言葉ね。

あのモブの中に、アニメ1話の某ドリフの連中が混じっているのに気づいてニヤリ。ブレてない。ブレてないよ。スタッフは自分たちが何をやりたいのか最初からちゃんと分かっていた。それが再確認できて嬉しい。

そして、冒頭でも紹介した、本当に〆の銀さんと新八のやりとり。

「終わりだぁ? まだ始まってもいねえよ」
「いや、それパクリだから」

パクリだよ。でもこの映画見に来てる人がみんな新八君みたいに映画詳しいワケじゃないから。だからここ誰も笑わなかった。そりゃそうだ。みんながみんな世界のキタノの映画に精通してるワケじゃないんだから。

だからこれは、単なる楽屋オチギャグじゃない。
本音なんだ。
スタッフも、キャストも、本気でそう思ってるに違いないんだ。

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